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楽曲解説 -タ行-

 邦楽の様々な楽曲の由来や解説などを知り、より演奏を楽しむ為の考察です。

瀧盡し/滝尽し(タキヅクシ)

 地歌筝曲。作曲は小野村検校(オノムラケンギョウ)。作詞は、錺屋治郎兵衛(かざりやじろべえ)。曲名の通り、古今東西の名瀑を唄に読み込んでいる。一見、滝を紹介するだけの内容のようであるが、その実、京から東国へ行き、齢を重ねる傾城の心情が唄われている。
 三味線長唄物として長唄四十番のうち第5番の曲であるが、現代は「雲井にさらす布引の~」の歌詞より普通の地歌形式で行なわれ、前半部分の長唄の味のある部分は割愛されることが多い。

音に聞く 吉野の滝の その末は
妹背の山の 中にはや
たつ龍門の流れも
那智のまさなぎに
忍ぶ契りの 音無し
花の鑑(かがみ)の 音羽山(※)
乱るる 滝の白糸
繰り返しつつ 青柳に
桜まじへし 都の錦
呉羽綾羽(くれはあやは、※)の 織姫や
天津(あまつ)乙女が 夏衣
(二上り)
雲井に晒す 布引
滝津瀬(※)も越す 五月雨に
いずれ菖蒲(あやめ)か 顔佳花(かおよばな、※)
引く手あまたの身なれども
いなにはあらぬ 有馬山
西にも名のみ 揚巻(あげまき)や
鼓が滝の その音は
絶えずとうたり 翁が滝
表や蓑(みの)の 裏見(恨み)なる
それは吾妻路(東路) 日の光
月にたましく(※) 嵯峨野の露や
戸無瀬(となせ、※)に落つる 大堰川(おおいがわ)
下す筏(いかだ)に 降る雪は
散りかふ花と 見まがへて
山静かなる 峯の雪
豊かに積もる 養老
なおも齢を 増す泉

太字:滝の名前

※ 音羽山=京都清水寺の山号。ここでは、清水寺の由来となった「音羽の滝」をさす。古来よりこの水は「黄金水」「延命水」と呼ばれ、「清め」の水として尊ばれている。

※ 呉羽 綾羽=七夕の織姫彦星伝説と同じ機織姫、呉織(クレハトリ)・穴織(アヤハトリ)の姉妹。奈良県川西町の糸井神社、大阪府池田市に呉服神社と伊居太神社に祭神として祭られている。伝説によれば、古代中国の呉の国より機織技術者として呉織・穴織・兄媛(エヒメ)・弟媛(オトヒメ)の4人が渡来したと伝えられている。

※ 滝津瀬=滝のような急な流れ。

※ 顔佳花=顔佳草、カキツバタ(杜若)やシャクナゲ(石楠花)の古名として使われる。ここでは前文に菖蒲があるのでおそらく杜若。美人の形容詞としても使われる。

※ たましく=玉敷く、珠敷く。美しい玉や石を引く。またそのような美しいさま。

※ 戸無瀬=京都嵐山付近の地名、または大堰川の古名。

小野村検校=関名は仁一。1760余年~1840余年。1778年登官、亀島検校の門下。

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