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楽曲解説 -タ行-

 邦楽の様々な楽曲の由来や解説などを知り、より演奏を楽しむ為の考察です。

常世の曲(トコヨノキョク)

 地歌筝曲、箏もの。幕末ごろに京都で作られたもので、作曲は藤谷光栄とも京都の数寄者による作であるともいわれている。歌詞の作詞者も不明、一説には松坂検校門下の人ともいわれる。古事記や出雲風土記の伝説(イザナギ・イザナミ神の物語やスサノオの物語)を題材にしていると思われる。
 その名の通り、思うにならないこの世(現し世)に疲れ、常世(あの世、黄泉)への安堵や安楽を憧れる遊女の儚い姿を描いた詩。憧れの春と現実の秋との対比が物悲しい。
 この曲を雲井の高調子として歌恋慕を低音の地として高低2部合奏をすることも可能、これは九段と雲井九段に倣ったものである。

雁が帰れば 燕が来なく
春ぞ心の 置き所
こころばな 心は春の
春ぞ心の 置き所
深山清水を 汲み兼ねて
佃田の稲を 敷く凌ぐ(しきしのぐ)
神(髪)の乱れに 櫛(くし)もがな(※)
玉(魂)にとりなし 人知れず
門にいでたち 葛花尾花(くずはな、おばな)
馬に刈り萱(かや) 深淵(ふかぶち)越えん(※)
衣につくは 野辺の月草(つきくさ、つゆくさ)
かにもかくに うつしなりけれ(現なりけれ)
うつしなりけれ
露(つゆ)と霞(かすみ)と 霞と露と 吹き分ける
夜坂(やさか、八坂※)の域(いき)は 花の春風

佃田の稲、葛花、尾花、刈り萱、月草などは全て秋の季語。衣のつゆくさは、涙も暗示する。

神(髪)の乱れに 櫛(くし)もがな=
八岐大蛇(ヤマタノオロチ)伝説の一節。素戔男尊(スサノオ)が櫛名田比売(クシナダヒメ)を守る為に櫛に変えて髪を結い、オロチを退治したといわれる。ここでは、愛しい人の側へいたいという思い。
日本略史 素戔嗚尊(月岡芳年・画)、尺八修理工房幻海
※画像は、スサノオとヤマタノオロチの対決。左上がクシナダ姫
(Wikipediaより)

深淵(ふかぶち)越えん=三途の川を暗示させる。

夜坂(やさか、八坂)=黄泉比良坂(よもつひらさか)のこと、伊賦夜坂(いぶやさか)とも。あの世とこの世を繋ぐ道をいう。イザナギ・イザナミの二神はココで永遠の別れをした。

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