楽曲解説 -タ行-
邦楽の様々な楽曲の由来や解説などを知り、より演奏を楽しむ為の考察です。
鳥追(トリオイ)
地歌筝曲。作曲は松浦検校(マツウラケンギョウ)、歌詞は謡曲の鳥追舟からとられている。内容は、とある九州日暮里に住む主が家を空けていている間に、家臣が主人の妻子を従者の如く使って鳥を追わせ、それに知った主人は怒り、家臣を殺そうとするが、妻子が宥め悔い改めさせるといった内容。
また、鳥追は東日本の各所で行なわれる小正月に田畑で害鳥を追い払おうとする魔よけの儀式のこと、主に子供が行なうものである。
君が住む辺の草に 宿りても
見せばや袖に あまる白露
晩稲(おくて)の田にも 刈りし穂の
色づく秋の 群鳥(むらどり)を
苧生(おふ)の浦舟 漕ぎ連れて
あれあれ見よや 他所(よそ)の舟にも
打つ鼓打つ鼓 しどろに声たてて
日を暮らし 夜を明かし
思ひ乱るる 我が心
空に鳴子の 群雀
稲葉の雲と 立ち去りて
行方も知らぬ 身の程を
あはれとだにも 言う人の
涙の数そへ
いやしきわざを しのび音に
笛と鼓の 声もろともに
追いつ追はれつ 幾度(いくたび)か
鳥追舟の 浮き沈み
松浦検校=関名は久保一.藤池流で筝曲ではなく地歌の作曲者。~1822年
京都を中心に活動し、「松浦の四つ物」とよばれる四季の眺、宇治巡り、四つの民、深夜の月という京流手事物など数々の名曲を遺した。
その他のタ行の楽曲
太乙 太平楽 太平萬歳楽 対話五題 大和楽 大菩薩 高雄山 滝落ノ曲 滝尽し たぬき 打波曲/打鼓 竜の宮姫 玉川 手向 陀羅尼 筑紫の海 筑紫鈴慕 竹雪の曲 竹生島(生田流) 竹生島(山田流) 竹籟五章 稚児桜 千里の梅の曲 千鳥の曲 千代の鶯 蝶の夢 竹調べ 茶音頭 長恨歌 調子 月の曲 對馬楽 つつじ 椿尽 摘草 鶴亀 鶴亀の曲 鶴の声 鶴の巣籠 鶴の巣籠(地歌) 手解鈴法 遠砧 通里 融 出口の柳 常世の曲 利根の舟唄 鳥追