楽曲解説 -ナ行-
邦楽の様々な楽曲の由来や解説などを知り、より演奏を楽しむ為の考察です。
夏の曲(ナツノキョク)
地歌筝曲、古今組の一曲。幕末頃に二世吉沢検校が作曲した。元は箏一面で調弦は古今調子を使用し、歌詞は古今和歌集の夏を題材にしたものを借用している。のちに、京都の松坂春栄(マツザカシュンエイ)が手事を増補した。
前唄は雅楽風のシャッテンシャッテンの手が繰り返され、これは捨翠楽(じゅすいらく)という古い雅楽の曲からら手を取っり水の流れる景を写すといわれている。
一、石の上(いそのかみ)古き都のほととぎす 声ばかりこそ昔なりけれ
二、夏山に恋しき人や入りにけん 声振りたてて鳴くほととぎす
三、蓮葉(はちすば)の濁りにしまぬ心もて なにかは露を玉とあざむく
四、夏と秋と行きかう空の通ひ路は 涼しき風や吹くらん
春の曲、秋の曲、冬の曲と同様に組歌形式を参考に作られた曲で古今和歌集の歌を使おってり、落ち着いた上品な雰囲気をかもし出している曲である。千鳥の曲、春の曲、秋の曲、冬の曲と合わせて「古今組」とも称される。これらの曲は、明治時代に松坂春栄(1854~1920年)に替手をともなう手事が加えられ、手事もにされてしまった。現在では、そちらの方がもっぱら有名になっている。
吉沢検校(二世)=関名は吉沢審一。生田流で主な活躍地域は名古屋・京都。
光崎検校(ミツザキケンギョウ)の幕末新筝曲の影響を受け、三味線から離れた箏だけの曲を作曲した。古今組(吉沢検校が作曲した代表曲郡の総称)は、新しく工夫をした調弦・古今調子を使用し、歌詞は古今和歌集に収集されているものを使用している。
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