楽曲解説 -ナ行-
邦楽の様々な楽曲の由来や解説などを知り、より演奏を楽しむ為の考察です。
根曳の松(ネビキノマツ)
地歌筝曲、手事物の大曲であり、代表曲の一つ。三橋勾当(ミツハシコウトウ、三津橋とも)が作曲し、手付けは八重崎検校(ヤエザキケンギョウ)や峰崎勾当(ミネザキコウトウ)が行なっている。歌詩は、松本一翁。
手事二上りで里神楽が取り入れられ、中唄から三下りで終り本調子手事となる。この手事は、鶴の巣籠(筝曲)を取り入れているものの、巣籠地ではなくひろい地からオクリ地になるというのが面白い。手事のマクラ一段二段では、巣籠地が添えられている。
神風や 伊勢の神楽の 学(まね)びして
萩(はぎ)にはあらぬ 笛竹の
音(ね)も催馬楽(さいばら)に 吹き納めばや
[中唄]
難波津の 難波津の
芦原や 昇る朝日の もとに住む
田蓑(たみの)の鶴の 声々を
琴の調べに 聞きなして
軒端(のきば)に通ふ 春風も
菜蕗(ふき、富貴)や茗荷(みょうが、冥加)の めでたさを
野守(のもり)の宿の 門松は
老いたるままに 若緑(わかみどり)
世も麗か(うららか)に なりにけり
[後唄]
そもそも松の 徳若(とくわか)に
万歳祝ふ(※はやす) 君が代は
蓬が島(よむぎがしま)も よそならず
秋津島てふ 国の豊かさ
大阪系の地歌で、大阪十二曲の一つともされ、「松竹梅」「名所土産(めいしよみやげ)」とともに、三役物という三味線手事の最高の曲といわれている。
根曳きとは、正月の子(ね)の日に根っこのついた松を曳く行事のこと。それにちなんで、さまざまな初春の情景を詠い込んでいる。
三橋勾当=生没年不詳(1780~1832年?)。
江戸後期の地唄演奏者・作曲者で、大阪を中心に活動した。峰崎勾当と並ぶ三絃手事ものの代表者。代表曲に、松竹梅・根曳の松など。
八重崎検校=関名は壱岐之都、三保一。生田流。1776または85~1848.
京流手事物の箏パートの作曲の第一人者で、多くの箏パートを作曲している。それまで人気の無かった曲も、彼が作曲する事で人気になった曲も。
その他のナ行の楽曲
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