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楽曲解説 -ハ行-

 邦楽の様々な楽曲の由来や解説などを知り、より演奏を楽しむ為の考察です。

鳳将雛(ホウショウス)

 尺八古典本曲、琴古流の本曲、裏十八曲の一曲。琴古手帳によれば、初代黒沢琴古が手付け(作曲)をし、鈴法寺の勇虎・泰巌両師に届けたものといわれている。字では「ホウショウスウ」と読むべきだが、琴古流ではホウショウスととまる。
 宇土細川家六代目藩主・細川興文(オキフミ、月翁、来鳳子)に関連する資料によれば、細川月翁作ではないかと一説には考えられている。(※佐藤晴美曰く、曲の前半1/3は琴古作、後半は細川興文作ではないかとのこと。だた幻海説では、前半部が中間にも繰り返されていること、曲の調子が他に類を見ない特殊なものであること、本曲を習い始めたばかりの人間には手が難しすぎること、などから主体はあくまで琴古だったのではないか、と考えている)。2代黒沢琴古が、鈴法寺に曲の許可をもらった時期が細川興文の免許状発行の時期と近いことから、細川興文への2代黒沢琴古からの免許取得や隠居祝いを兼ねたはなむけであったとも考えられる。
 曲名は、一説(富森虚山説)には宋の謝継新が編纂した「古今壁事類備要」の楽府纂楽曲の部の「鳳将雛者旧歌曲 前漢車騎将軍シンイン所制也」からきているのではないかとも、後漢時代に蜀の軍師で伏龍・諸葛孔明と並び鳳雛として双璧と称され、赤壁の戦いでは連環の計を献策したとされるホウ統士元(ホウトウシゲン、ホウはまだれに龍)に由来するのではないかとも考えられている(同戦いを題材にした蘇ショクの赤壁腑は漢文の傑作とされる)。また初代黒沢琴古は別号を金鳳といい、細川月翁は号を来鳳と、何かと二人は鳳凰と関連があることも曲名に関係しているのかもしれない。
 鳳将雛とはや鳳凰の雛のことで、麒麟児や神童と同じく幼くして才覚を見せる男児を意味する。曲中には雛の鳴き声を模したコロコロの手があしらわれている。

細川興文=肥後熊本支藩の宇土細川家六代目藩主。号に月翁、来鳳子、蕪月尊翁、蕉月。1723年~1785年、享年61歳
 江戸在勤中に初代黒沢琴古に尺八を学び(通説では一閑流の池田一枝について尺八を学び※近年の研究では池田一枝に学んだことは二人の年齢的に否定されている)、隠居後の明和9年(1772年)に2代黒沢琴古から免許状を受け、安永2年(1773年)には一月寺より本則を受けたといわれる。「尺八の吹き方覚書」「十八曲修了覚書」などの書を記し、鳳将雛を作曲したともいうほどの熱心な尺八大名であったという。製管もよくした。


参考音源:琴古流 鳳将雛(提供:木村氏 使用管:8寸四郎管)

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