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楽曲解説 -マ行-

 邦楽の様々な楽曲の由来や解説などを知り、より演奏を楽しむ為の考察です。

ままの川(ママノカワ)

 地歌筝曲、唄物。作曲は菊岡検校(キクオカケンギョウ)、箏の手付けは松野検校(マツノケンギョウ)、歌詞は宮腰夢蝶からなっている。現実なのか非現実なのかの区別も曖昧な色里(遊郭)で、口先ばかりの愛情に翻弄される遊女の悲しい心境を歌った曲。
 構成は、前弾・前唄-手事・チラシ-後唄となっており、マクラが明瞭でないのと手事が短いのが特徴。義太夫節の壺坂「夢が浮世か」のところが用いられていることで有名。

夢が浮世か 浮世が夢か
夢てふ郭(さと)に 住みながら
人目は恋と 思ひ川
嘘も情も ただ口先で
一夜流れの 妹背(いもせ)の川を
その水くさき 心から
よその香りを 衿袖(えりそで)口に
付けて通へば なんのまあ 
可愛い可愛いの 烏の声に
覚めてくやしき ままの川

菊岡検校=関名は楚明一。1792~1847。地歌の作曲者。
地歌の作曲者として活躍し、京流手事物の様々な名曲を後世に遺している。その多くの曲の箏のパートは八重崎検校が担当している。代表作品に磯千鳥・楫枕・茶音頭・夕顔など多数。

松野検校=関名は正豊一。享和二年(1802)~?。江戸後期~明治前期の地唄箏曲演奏者・作曲者で京都生まれ。松浦検校の弟子。代表作品に老の友・冬籠など

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