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楽曲解説 -マ行-

 邦楽の様々な楽曲の由来や解説などを知り、より演奏を楽しむ為の考察です。

紅葉づくし(モミジヅクシ)

 地歌三曲、三弦長唄物。津山検校(ツヤマケンギョウ)による作曲で、地歌四十一番の内の一曲、唄と節に重点を置いた曲。歌詞には紅葉の名所をあげつつ、訪れなくなった愛しい人を諦めつつも、十二単や化粧などで美しく着飾り、待ちわびる女性の心音が隠されている。
 三弦は本調子、箏は半雲井調子、尺八はロ一。

秋更くる 深山楓の小夜時雨
手染めの糸の 竜田姫(※1)
織り出す錦 品々に
その名も高雄 小倉山
深雪またなん 飛鳥川
変る心は 薄紅葉
唐紅に 竜田川(※2)
流れて止まる しがらみに
もみの波路の 遥かなる
千里のほかの 唐錦
我れ敷島の 道しるべ
紅葉重ねの 名取川
きみ松ヶ枝の 夕暮に
月の影さえ 通天の
遠近(おちこち)人の 陸奥(みちのく)の
枝垂れ紅葉や 糸紅葉
よる年波の 水鏡
移ろう色の 二面(ふたおもて)
忘れ形見の 朝露に
かりの玉梓(たまづさ、※3) 蔦紅葉(つたもみじ)
まだ如月の 花よりも
ます紫の 一入(ひとしお)に
さけ暖めし 唐詩(からうた)の
昔を忍ぶ 須磨の浦
青葉の笛の 鹿紅葉
爪紅(つまくれない、※4)や 青海波(せいかいは)
夜の錦は 古里の
風の便りも 神無月
数囃子(かずはやし)ほか 九重か
十二単(じゅうにひとえ)の 裏辺にも
薄柿(うすがき、※5)鬱金(うこん、※6) 色々を
数え数えて 幾日をか
秋の名残りを 眺むならまし

※1 竜田姫=秋を司る竜田山の女神。奈良県の西に位置するタツタ山の神霊で風神。秋の季語。春を司る佐保姫と対をなす。季節の情景、春霞は佐保姫が織り成し、秋の錦は竜田姫が染め上げるといわれる。

古今和歌集、兼覧王(かねみのおう)
< 竜田姫 たむくる神の あればこそ 秋の木の葉の ぬさと散るらめ >
金葉和歌集、藤原伊家(ふじわらのこれいえ)
< 谷川に しがらみ かけよ竜田姫 峰の紅葉に 嵐吹くなり >

※2 小倉百人一首の17番、在原業平(アリワラノナリヒラ)朝臣の詩に掛かる。
< ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは >

※3 玉梓=ひねり文や手紙、あるいは消息のこと。 
※4 爪紅=爪にほどこす化粧、マニュキアのこと。また鳳仙花の別名。秋の季語。

※5 薄柿=薄柿色。柿渋で草木染めした薄い赤茶色のこと。
※6 鬱金=鬱金色。ウコンの根っこで草木染した赤みを帯びた鮮やかな黄色のこと。

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