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尺八 真の名人列伝

 この世に尺八吹きは数あれど、真の名人と呼ぶに相応しい人物はそうそういない。私がこれまで出会ってきた、あるいは演奏会やコンサートで、あるいはCDなどの録音物で聴いた方々などで、本当に感動し、尊敬し、後世に残したい、伝えたいと思う演奏家を紹介していきたいと考えている。

尺八の達人・名人・・・

藤田正治(フジタマサハル)

古典本曲研究・作曲家、地無し尺八製作者。明暗蒼龍会、虚無僧研究会、光会。
1915(大正4)年9月9日生まれ~2002(平成14)年5月14日、享年86歳。

 山口県新南陽市福川に生まれ、14~15歳ごろに街に現れた虚無僧の吹く尺八の音色に魅了され、「その跡をそっとついて行った」と著書「我が尺八道」の中で述懐している。その後、本居鳳幽、桝谷鳳山(都山流)、上田直堂(上田流)などに師事し三曲や筝曲などの合奏曲を学んでいた。
 しかし、定年後には古典本曲の魅力に取り付かれ、独自に研究。全国の古典本曲家を尋ね、本曲を蒐集・採譜して歩いた。また、そのあくなき探究心は、竹そのものにも向かっていき地無し尺八の製管を独自に研究するまでになる。製作上のポリシーとして歌口に角は入れない、どんな長管でも指孔を振らない(千鳥にしない)というものがある。逸話として、3尺余寸の竹を吹くために右手をヒョイと伸ばすと肩が脱臼し、指孔に届くという。
 その成果は、作曲60余曲、地無し尺八約500本、曲譜の訳譜と音からの採譜450余曲、経譜巻数50巻、録音テープ(60分)160巻など、数多くの尺八関係資料を残している。

 彼に影響を受けた尺八家は数知れず、また彼の残した資料は後代の尺八家の大きな助けになるだろう。そして、彼の残した地無し長管は、現代の地無し長管ブームに一役買っている。

情報提供URL=「IN MEMORY OF THE LATE MASAHARU FUJITA」 

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