練習法・吹き方
幻海お知らせブログの方で過去に紹介した、尺八のさまざまな吹き方や練習法を少しまとめていきたいと思います。初心者にもできるだけ解りやすく、経験者にとっては目から鱗な上達法。ほんのちょっとの練習の仕方だけで、どんどん尺八が上手くなります。
初~中級者が気を付けるべきこと
前話では、初心者が躓きやすい”アゴ当たり”について、「初心者が陥りやすい吹き方の失敗」として解説しました。
今回は、少しは尺八を吹けるようになってきているのに、なんとも上級者とはいいきれない、初~中級を抜け切れない方が気づくべきこと、について解説したいと思います。
まず、ロ・ツ・レ・チ・ハ(リ)といった基本的な指使いを覚えること、甲乙の音を出すことは当然のこととして。初~中級者が、次にまずもって気を付けなければならないことは、何と言っても音のメリ張り(メリカリ)でしょう。
このメリカリを思った以上に何となくでやってしまっている、できた気になっていることが多くあります。
例えば、チのメリやツのメリなど、単音で吹く場合にはアゴをメって吹くことを気を付けているのに、曲中や何か他の音との連続したフレーズを吹く場合には、アゴをメルということよりも、指を早く動かすことや上手く吹くことに意識が行き過ぎて、アゴのメリが疎かになることがあります。
また逆にアゴをしっかりとメれているのに、次の通常の音(ロ・ツ・レ・チ・ハ<リ>)を吹く際にしっかりとアゴを戻さないがため、どんどん音が低くなってしまって、最後には吹き苦しくなる、といったこともあります。
こういった状態ですと、吹きにくいことはもちろんのこと、他の楽器(尺八、琴、三味線、その他楽器・声など)との合奏が上手くいかず(本人らはそれで上手くいっていると錯覚しているのかもしれませんが)、第3者から聞いた印象としては聞くに堪えない下手くそな演奏ということになります。
つまるところ、これらメリ張りを出すために初~中級者が気を付けるべきことは、「今、自分が何の音を吹いているのか」ということをしっかりと認識することが肝要です。ロ・ツ・レ・チ・ハ(リ)を吹くポジションとメリ(ツ・チ・ハ<リ>・ウ)を吹くポジション、井(ウの三)やタ(四五のハ)のカリ、その違いをしっかりと意識し、またその音から音へ移るときの繋がりを意識することが大切です。練習の際は単音で吹くだけでなく、連続した音(例:チ→ウ→チのような)を吹くことも重要でしょう。またこういった、単音・連続音を練習でできなければ、決して曲中で吹くことはできません。練習でできないことが、本番でできるはずがない。本番で自信を持って演奏するために行うのが、練習であるということを、しっかりと理解することです。
そして、もう一点。これは前話のアゴ当りの話や、そもそもの基本的な吹奏姿勢についも共通することではありますが、自分の”息がまっすぐに出ているか”ということも重要な点になります(まっすぐといっても、口元からやや斜め下方向に向けてではありますが)。
息を吹けばまっすぐに出るのは当たり前、と思うかもしれませんが、決してそんなことはありません。
例えば、身体的に上唇が出ていたり前歯が出ていれば、程度の差はありますが上唇が前に出るようなおちょぼ口のような吹き方になってしまい、息が下向きに出ます。逆にタラコ唇やアゴがしゃくれていれば、下唇の加減で上向きの息になってしまいます。なので、そういった場合には意識して逆向きに息を出すことで、まっすぐに息が出るようにする必要があるのです。
このことを知らないがために、初心者や独学者は、長管の場合メリ吹きに、短管の場合はカリ吹きになりがちな傾向にあります。また、残念ながらこのことを指摘している尺八に関する教則本はまったくありません。しっかりと真っ直ぐに息を出す、ということを意識するようにするといいでしょう。また基本的にプロの製管師が作ったものに鳴らないものはありませんし、一番よく鳴るように作っています。ですので、尺八に自分を合させるのではなく、自分が尺八に合わせるようにする、というのも大切な心構えかと思います。
こちらの記事をはじめ、尺八の練習方法や管理の仕方などについて、詳しくは「まるごと尺八の本(葛山幻海 著)/¥1600」に記載しています。よかったらそちらも参考になさってください。
稽古・出張稽古・講習会など
直接、尺八を習いたい話しを聴きたいといった方もおられるかと思います。近郊の方であればお稽古に来ていただければと思いますし、遠方の方であれば出張稽古や講習会などを行なうことも可能です。興味があればご覧ください。[稽古・出張稽古・講習会など]
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