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尺八用語集 -ナ行-

 尺八の演奏技法や諺などの用語集。

ナヤシ

 縦ユリの応用。大まかに分けると2種類ある。曲や流派、伝承地域によってどちらのパターンを使うかが変わってくる。
 一つは、アゴによるメリ→カリと指のカザシを利用したポルタメントで記号は「~」と表記される。例えば「レのメリ→レ」に移るような具合。都山流のスリ上げよりも半音高い音から始まり、くぐもった独特の雰囲気になる。
 もう一つは、ひらがなの「ん」を描くように首を振る。最初に下げるときはすばやく、中間まで戻すときはすこしゆっくりと、そして最後にもう一度うなずくようにすばやく下げて上げる。そうすることで独特な音の谷間ができる。少し大胆にやるぐらいが調度よい。京都系のナヤシは公家風に艶っぽく、九州系のナヤシは野性味を帯びて荒々しく、と少し違いがある。錦風流では「チギリ」と呼ばれる。

ヌキテ(抜き手)/抜き

 ある音から明暗系のイ(琴古流・都山流はヒ)に移るときの流れている余韻をそのままの情感で5孔を開いて裏側へ抜き去るような音感のことを俗にヌキテという(※スリアゲに近い)。ただ裏孔を開けるよりも柔らかな音色にすることができる。

音味(ネアジ)

 その音色の良し悪し・深みなどを現す時に使われることが多いが、特にこれといって定義は無く、個人の感覚によるところが大きい。おそらく、味のうまみや出汁といったものを音になぞらえて音味といっているのだろう。本曲系は434Hzと少し低い音が好まれ、三曲や現代曲はお箏や三味線の調弦の加減か443Hzと少し高めできらびやかな音が好まれる傾向があるように思われる。

音色(ネイロ・オンショク)

 音の成分の違いから生まれる感覚的特性をいう、同じ高さの音を同じ大きさで鳴らしても、発音体の違いによって異なる振動を発生されることによって音の違いが生まれる。ようするに楽器に使用されている素材や大きさなどの違いから音が違うということ。
 余談だが、音響の研究者の中には音色を「ネイロ」と呼ぶのを嫌う人がいて「オンショク」と言わないと怒ることがある。十人十色というように色とはいろんな種類のことを現している。私個人としては、「ネイロ」と言ったほうが自然的で日本らしくて好きだ。

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尺八修理工房幻海