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楽曲解説 -ヤ行-

 邦楽の様々な楽曲の由来や解説などを知り、より演奏を楽しむ為の考察です。

雪の花(ユキノハナ)

 地歌筝曲。作曲は菊仲米秋(キクナカベイシュウ)、作詞は青木清高。吉野山で源義経と別れた静御前の、その愛する人が踏み分けて行った雪がせめて花であれば恋しい気持ちを慰めるであろうに、それが出来ないなら雪を降らせて足跡を消し追っ手を道に迷わせてくれ、という悲しい女性の思いを綴った詩。

吉野山 峰の白雪 踏みわけて
入りにし人の あとぞ恋しき
花とは散れど 花ならむ
この白雪の 花ならば
なぐさむ方も あらましを
しほりも絶えて 峯ふもと
青嶺(あおね)おろしに 散りしきる
雪の花こそ つれなけれ
いなつれなきは 人心
昨日は花の 影に立ち
今日は雪とぞ 降りかはる
よしさらば よしさらば
踏み分け給ひし わが君の
みあと埋(うづ)みて 追う人の
道まどうまで 散りつもれ
やよ み吉野の 雪の花片(はなびら)

静御前=平安~鎌倉時代の白拍子、源義経の妾。

 義経が兄・頼朝と不仲になり、京から落ちようとした時には随行したが、途中止む無く吉野山で別れた。
 その後、鎌倉へ捕縛され、鶴岡八幡宮にて頼朝と北条政子の前で舞を舞うように命じられる。その時に下記の義経を想った詩を舞い、頼朝に激怒され、殺されそうになる。
 しかし、同じ女性で立場が違えば、「自分もそうしていた(なっていた)であろう。」と北条政子の取り成しで一命を取り留める。
 いわば敵将の前で、恨みをのべる胆力と義経への一途さ、鬼気迫る舞の美しさから吾妻鏡には「誠にこれ社壇の壮観、梁塵(りょうじん)ほとんど動くべし、上下みな興感を催す」と絶賛された。

・しづやしづ しづの苧環(おだまき) くり返し 昔を今に なすよしもがな
<訳>倭文布(しづぬの、日本古代の織物)を織る為の糸を巻く道具をクルクルと行ったり来たり回すように今を昔に戻せたらいいのに
<訳2>(義経が)静よ、静よと呼ぶ声をもう一度聞ける昔に戻ればいいのに

・吉野山 峰の白雪 踏み分けて 入りにし人の 跡ぞ恋しき
<訳>吉野山の峰で、雪を踏み分けて去る貴方の姿が今でも恋しい

葛飾北斎画の静御前、尺八修理工房幻海
画像は、葛飾北斎画の白拍子(静御前)の図(Wikipediaより)

菊仲米秋=1883年~1952年
明治から昭和期の地唄・箏曲演奏者。神戸生れ。本名は中村米吉。京都盲唖院卒。1915年に三代菊仲を継承し、米秋と称した。

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