楽曲解説 -ラ・ワ・ン行-
邦楽の様々な楽曲の由来や解説などを知り、より演奏を楽しむ為の考察です。
若菜(ワカナ)
地歌筝曲、京風手事物。松浦検校(マツウラケンギョウ)作曲で、八重崎検校(ヤエザキケンギョウ)が箏手付けを行っている。歌詞は、前田某という人のであると伝えられている。
前唄-手事・チラシ-後唄と3段からなっており、節も春らしくのんびりした歌曲で尺八との合奏に適している。この曲のチラシは新浮舟と合い、手事は八重衣の3段からカケ合いまで取り入れられている。
年はまだ 幾日(いくか)もたたぬ 笹竹に
今朝そよさらに 春風を
われ知り顔に 鶯(うぐいす)の
もも喜びの 音(ね)を立てて
歌ひ連れ立ち 乙女子が
摘むや千歳の 初若菜
若菜摘む手の やさしさに
梅が枝にさへづる
百千鳥(ももちどり)の声 添へば
色さえ 音さえ めでたき
新春の春風薫る中を乙女達が若菜(七草)を摘みに出かける姿に、竹・鶯・梅を配してめでたさを歌った曲。古来より人日の節句(1月7日)には、七草を摘んで粥にして食べ、一年の無病息災を願っていた。その行事のことを歌われた曲でもある。
春の七草はセリ、ナズナ(ペンペン草)、ゴギョウ(ハハコグサ)、ハコベラ(ハコベ)、ホトケノザ(コオニタビラコ、※註)、スズナ(大根の葉)、スズシロ(カブの葉)。
註)ホトケノザは正式には別の草の名称
松浦検校=関名は久保一.藤池流で筝曲ではなく地歌の作曲者。~1822年
京都を中心に活動し、「松浦の四つ物」とよばれる四季の眺、宇治巡り、四つの民、深夜の月という京流手事物など数々の名曲を遺した。
八重崎検校=関名は壱岐之都、三保一。生田流。1776または85~1848.
京流手事物の箏パートの作曲の第一人者で、多くの箏パートを作曲している。それまで人気の無かった曲も、彼が作曲する事で人気になった曲も。
その他のラ・ワ・ン行の楽曲
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