楽曲解説 -マ行-
邦楽の様々な楽曲の由来や解説などを知り、より演奏を楽しむ為の考察です。
陸奥鈴慕(ムツレイボ)
尺八古典本曲、鈴慕の一種。曲名の示すとおり東北から西へ移動してきた曲である。
明暗対山(ミョウアンタイザンリュウ)の本曲で樋口対山(ヒグチタイザン)の整曲とも作曲ともいわれ、①樋口対山の元へ中村洞山が稽古に来た際に、奥州系の鈴慕を知り、それを参考に作曲したらしい(谷北無竹
談)、②布袋軒の最後の住職である長谷川東楽が一時京都に移り住み、その時に鈴慕を伝わり、陸奥鈴慕と名づけた(浦本折潮 談)、④浦本折潮から宮城野鈴慕(宮城鈴慕)を教わったのちに樋口対山が編曲した、とも云われているが、もはや定かではない。
陸奥(現青森県)は根笹派の本拠であり、この曲も根笹派特有の手法がみられる。また、托鉢の際に吹き流された曲らしく、流し吹きの感じも残っている。しかし、現在の根笹派錦風流にはこの曲は残っていない。伝えられた先で残っている一例である。雪深い国の春を待ち遠しく思う、何となく静かに篭ったような、情緒が豊かな曲相である。
他の奥州三谷などと混ざり、奥州系の鈴慕という意味で陸奥鈴慕と使われる場合もある。
その他のマ行の楽曲
松風 松風(生田流) 松風(山田流) 松の寿 松の緑 松前追分 ままの川 万歳 水の変態 水は器 乱輪舌 三つの景色 三津山 峰の月 都踊 都鳥 都の春 御山獅子 深山の暁 宮城鈴慕 霧海ヂ 霧霞谷 麦笛の頃 虫供養 虫の音 虫の武蔵野 無住心曲 夢中之曲 陸奥鈴慕 紫鈴法曲 明鏡 名所土産 目黒獅子 最中の月 紅葉 紅葉づくし