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楽曲解説 -タ行-

 邦楽の様々な楽曲の由来や解説などを知り、より演奏を楽しむ為の考察です。

融・とほる(トオル)

 地歌筝曲。もとは世阿弥作の能の五番目物、古名『塩竈』(しおがま)を題材に石川勾当(イシカワコウトウ)が作曲した。
 後に京では弾く人が絶えていたが、伏見を経て大坂に伝わり、市浦検校(イチウラケンギョウ)が箏手付を行ったため、「伏見物」として再び広まったといわれる。
 京物であるが大阪系・九州系で曲の長さが異なる。手事二段のうち、九州系はあとのものしか弾かない。琴古流では九州系を吹く。構成は「前弾-前唄-手事-中唄-手事-後唄」となっている。
 曲名の融は人名で、嵯峨天皇の子、左大臣源融(ミナモトノトオル)のことを差す。源融が京都東六条の北坊門南万里小路、鴨川の西の一角に「六条河原の院」と称して、豪華な邸に栄華の夢を見ながら住んでいた。その死後、とある行脚の僧が、ここに一夜の仮宿を得た時、融の亡霊が現れ、豪壮栄華を物語る、といったもの。

あの籬(まがき)が島の松蔭に 明月に舟を浮かべ
月宮殿(げっきゅうでん)の白衣(しろたえ)の袖も
三五夜中の新月の色
千重ふるや 雪を廻らす雲の袖
さすや桂の枝々に 光を花と散らすよそほひ
此処にも名に立つ白河の波の あら面白や曲水の盃
受けたり受けたり 遊舞の袖
あら面白の遊楽や そも明月のその中に
まだ初月(はつづき)の宵々に 影も姿も少きは
如何なるいはれなるらん
それは西岫に 入日の未だ近ければ
その影に隱さるる
例へば月のある夜は 星の薄き(※淡き)が如くなり
青陽の春の始めには 霞む夕べの遠山
黛の色に三日月の 影を舟にも喩えたり
また水中の遊魚は 釣り針と疑ふ
雲上の飛鳥は 弓の影とも驚く
一輪も降らず 万水も昇らず
鳥は池辺の樹に宿(しゅく)し 魚は月下の波に伏す
聞くとも飽(あ)かじ秋の夜の 鳥も鳴き鐘も聞こえて
月もはや影傾きて明方の 雲となり雨となる
この光陰に誘はれて 月の都に入り給ふ装ひ
あら名残惜しの面影や 名残惜しの面影

石川勾当=筝曲ではなく、地歌の作曲者として1800年代初期に京都を中心に活躍。
名曲を残したにも関わらず、その人物については詳細が伝わっていない謎の人物である。代表作に京流手事物の八重衣、新青柳、融(とおる)など。

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