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楽曲解説 -タ行-

 邦楽の様々な楽曲の由来や解説などを知り、より演奏を楽しむ為の考察です。

鶴の巣籠(ツルノスゴモリ)

 鶴巣篭は、尺八を始め地歌・筝曲・胡弓などの器楽から歌舞伎や浄瑠璃といった舞台芸術にまで広く取り入られている曲目。「巣篭因縁経(※)」と呼ばれる、親の愛のありがたさを解いた経文の趣旨を標題に作曲されたものであると云われている。尺八曲の鶴の巣籠についてはコチラを参照。
 地歌筝曲のものは、伝説によれば明暗本曲の鶴の巣籠を天保年間に巌得という大阪の人が胡弓に移曲し、それに三味線の伴奏で巣籠地を弾いて合わしたのが始まりであるといわれる。
 その他、慶応4年に大和の久幾勾当のもの、神戸の駒中検校作の箏三味線の合奏の手事物などがある。尺八の巣籠地には松竹梅の手事を用い、手事からマクラまで通していくもので、その他八千代獅子や三段獅子も地に使われることもある。
 また、胡弓や地歌に移されたものから、さらに尺八曲に移曲されたもの(都山流本曲鶴之巣籠、上田流本曲鶴の巣籠)などもあり、いかに愛されている名曲かが窺われる。

【鶴の巣籠由来に関する言い伝え】
 とあるお寺では毎年冬から晩春にかけて鶴が飛来し、寺の老松の樹上に巣を作りにやって来る。
 そんな、ある雪の降る日、寺の小僧は和尚の不在中に、松に登って鶴の卵を取って茹でて食べてしまった。
 憐れな鶴は巣の卵が失せたことに夜もすがら鳴き続けたが、ついには何処へともなく飛び去ってしまう。
 これを後に帰って来た和尚が、小僧が卵を食べた仕業と知った。何とか残っていた一つの卵を仏前に供え、お経を唱えながら「何とか鶴をもう一度」と一心に祈り、その卵を再び巣へ戻したところ、親鳥も戻って卵を温めだし、七日七夜後、無事に雛が孵った。
 それが大いに目出度いと近所の人から噂になると明暗寺の虚無僧・玄妙が訪れて、その話を聞き取り、鶴の鳴き声を写し取って都に伝えた。これが巣籠の最初だと云う。

※ 巣篭因縁経:
 極寒の雪原の上で子育てする親鶴は、寒風が吹けばその身で雛を守り、雛が腹を空かせれば、己の疲れも忘れて餌を求めて飛び回る。そして、餌が手に入らなければ己の腹の肉を雛に与え、成長を育む。遂には雛は立派に成長し巣立ちを迎え、振り返ることなく飛び去れば、親鶴はその姿を見て静かに体を横たえる。
 父母恩重経(フボオンジュウキョウ)に近い、親の愛を解いた経文。
(注)巣篭因縁経という経文が仏経典に存在せず、往時の辻説法の一つではないかと思われる。

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