楽曲解説 -カ行-
邦楽の様々な楽曲の由来や解説などを知り、より演奏を楽しむ為の考察です。
慷月調(コウゲツチョウ)
都山流本曲。初代中尾都山が一番最初に作曲した本曲で、明治37年秋に日露戦争の戦勝祈願の為、大阪府河内長野市の歓心寺(カンシンジ)に詣で、曲意を得て作曲したといわれる。
「慷(コウ、なげく)月」の字の如く、月を仰ぎ我が身の至らなさを嘆く情を調べに変えた曲とされ、あるいは中国の赤壁賦にある「その声鳴々然として、怨むが如く、慕うが如く、泣くが如く、余韻嫋々(ジョウジョウ)にして絶えざること縷(いと)の如し」の情緒を現しているともいう。
歓心寺は、太平記にも登場する忠義の士「大楠公(楠木正成)」縁のお寺で、境内には寂々とした雰囲気がある。初代中尾都山は、楠公の「七生報国」の無念さを自分の至らなさに重ね合わせていたのかもしれない。季節は中秋。
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