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練習法・吹き方

幻海お知らせブログの方で過去に紹介した、尺八のさまざまな吹き方や練習法を少しまとめていきたいと思います。初心者にもできるだけ解りやすく、経験者にとっては目から鱗な上達法。ほんのちょっとの練習の仕方だけで、どんどん尺八が上手くなります。

尺八の吹き方、色々~ユリから特殊技法まで~④

 古今東西で発展してきた尺八の様々な吹き方を分類し、紹介したいと考えている。参考音源も用意する予定。

【演奏技法群】
打ち(同指、ツル、レエ、チリ、ハラ、ウル) 打ち(スリ) 打チツメル
押し  頭押し 押し直し 刻み 落し 刻み-落し(錦風) ウツレー(明暗) 
ツレー(都山) ツレー(琴古) ハラロ(カル) ハラロ(メル)
もみ手 オドル カラカラ 鈴ゴロ ヤラヤラ フラ コロロー リン
コロコロリン(都山) コロコロ(明暗) ホロホロ コロコロ(玉音) ヒラヒラ

追記:ハズミ 吹切(フキキリ)
二指連打(ツルツル、レエレエ、チリチリ、ウルウル、ハラハラ)

打ち(同指、ツル、レエ、チリ、ハラ、ウル)=
 指を高く上げ、打ち付けるように叩く奏法のこと。打ち付ける速度、指孔を開ける速度で随分と雰囲気がかわる。総じて、新曲・三曲・現代曲などは速く叩かれ、古典本曲は遅く叩かれる(通称:鈍打[ドンタ])。
 ツルの場合は、1孔打ち。レエは、指定が無ければ2孔打ち。チリは、指定が無ければ3孔打ち。ハラ(アと表記されることもある)は指定が無ければ4孔打ち。ウルは、指定が無ければ3孔打ち。

打ち(スリ)=打ちというよりは、指孔を斜めにサスル・カスメルように動かす奏法。独特な破擦音になる。都山流の場合は「ノ」、琴古流の場合は「ル」の表記でされることが多い。

打チツメル=「打ちつつ、メル」と「打ちをつめる」の二通りの意味がある。前者は打ちをしながらメっていくことで、後者は2連の打ちを連続しながら次第に落としていく奏法。まるでキツツキが木を突くかのような独特なリズムになる。

押し=打ちのように指を高く上げるのではなく、押さえた指を押し直すような気持ちで、ほんの少し明け、すぐに閉じる奏法。音の変化が少なく連続的になる。送り指、キザミ指などとも呼ばれる。

頭押し=フレーズの拍の前に装飾音として押しを入れること。西洋音楽で云う短前打音。ハズミと呼ばれることもある。

押し直し=フレーズの拍の後ろに装飾音として押しを入れること。西洋音楽で云う後打音。

刻み=打ちや押しを一定間隔で連続する奏法。

落し=打ちや押しを徐々に早くする、あるいは遅くするなどの変化を持たせた奏法。鼓を打つ音のようにするを心がける。

刻み-落し(錦風)=錦風流を代表する独自の奏法。刻みと落しを巧みに使う。もみ手に近いが独特なリズム感で叩かれる。


参考音源:演奏技法群01(1尺8寸:地無し幻海)

ウツレー(明暗)=それぞれの流派で少しづつ特徴が異なる。明暗の場合は、ウの音が表記されてあるが、実際には打音だけで音に鳴らない音を求められ、ツの音はツブシた音を出し、ツレの間も短く、すばやくスリ上げられる。ツの音が強調される。

ツレー(都山)=都山の場合、楽譜表記ではツレであるが、実際にはウ(1・4孔明け)の音をしっかりと聞かせ、ゆっくりとツレに移る。ウツレの音の長さは均一。

ツレー(琴古)=琴古の場合も、楽譜表記はツレであるが、ウツレとなる。ただしこの場合のウは、4孔を押す場合と3孔が押す場合の2種類がある。その後ツレに移るにはゆっくりと2孔をスリ上げると同時に4孔を押し直す(3孔を押し直す場合もある)。ただし、この押し直しはあくまで音を滑らかに繋げる為の作法であるので、あまり強調しない。ツとレが強調されるが、どちらかというとレを中心とする。
もう一種、強調した吹き方もあり、こちらは乙で4孔のみ開けた状態で、4孔を閉じると同時に1孔を開ける、といった吹き方もある。

ハラロ(カル)=琴古流でよく使用される特徴的な奏法、一部明暗でも使用される。楽譜上はハラロと表記されるが、正確には「ハーイ、ハロー」と吹かれ、乙の二四五のハ→カリ→メリと同時に2孔打ち→ロとなる。

ハラロ(メル)=琴古流でよく使用される特徴的な奏法、一部明暗でも使用される。楽譜上はハラロと表記されるが、正確には「ハーハーロー」と吹かれ、乙の二四五のハ→2孔打ち→ロとなる。

もみ手=ムラ息とともに一般の人の耳にも残る尺八の代表的奏法の一つ。二つの指を使い、スリ上げ、上の音は押しを、下の音は打ちを行い、徐々に速くなっていくなどの複合的な動作を要する。例えば、ツレのもみ手「ツレー、レツ。ツレー、レツ。…」は、最初のツレでスリ上げ、レを押し、ツを打ちと同時にスリ上げ、また押し→打ち→スリ上げ…と繰り返される。

オドル=もみ手あるいは連打音をさらに崩し、リズムがバラバラの物を特にオドルという。古典本曲で使用される。

カラカラ=都山の甲ハ、琴古のヒ(共にメリ・大メリ含む)で1孔を連打する奏法のこと。まるで鳥が囀るような音がする。不出来な尺八の場合には「カラ、カラ」と鳴らずに「カッ、カッ、カッ、カッ」と鳴り、これを俗に片カラや片輪などと呼ぶ。この場合でも、2孔をカザしたり、塞ぐことで補えることもある。明暗対山流ではヤラヤラ、琴古流では鈴ゴロ(ゴロ)と表記される。

鈴ゴロ=カラカラとほぼ同じだが、指はコロコロのように1・2孔を交互に連打する(2孔のみの場合もある)。古典本曲で使用される。ヤラヤラと表記されることもある。琴古流の場合は、カラカラと同じで1孔(あるいは2孔)の連打の鈴ゴロ(片ゴロとも)、ハの指で3孔連打のウハゴロの2種がある。

ヤラヤラ=乙(呂)音でのカラカラ。都山のハ、琴古のリの指で1孔あるいは3孔を連打する。明暗対山流の場合は甲になり、カラカラと同一。

フラ=都山流で使用されるコロコロを分解した奏法。1・2・3孔閉じ+4・5孔カザシ(琴古では四五のハ)から1孔あるいは2孔をすばやく開閉開する。

コロロー=コロコロのレパトリーの一種で、ゆっくりと2度おこなうもの。音色的には「コロー、コロー、ロー」と鳴る。コは4・5孔のみカザシ、他閉じでメリ。1回目のロは、1孔を開ける、その際さらにメリ込む。2回目のロは、2孔を開ける、こちらもさらにメリ込む。3回目のロは、通常のロ。他にホロイやホロロなどと記述されることもある。

リン=すばやくコロをする奏法をリンと呼ぶ。都山流で使用される他、一部本曲でもフレーズの頭などを印象付ける為に使用される(その際の楽譜表記はホロやコロと記される)。

コロコロリン(都山)=都山流のコロコロ。多くの場合、リンを最後に続ける。明暗のものよりも1・2孔の連打が早く、途中の閉じられた状態の音が少ない。音的には「ココココ…」というのが正しい。

コロコロ(明暗)=明暗流のコロコロ。都山流のものとは異なり、ロは完全に1・2孔どちらの指も閉じた状態の音を聞かせる。ホロホロと表記される場合もある。

ホロホロ=古典本曲に出てくるコロコロの派生型。コロと異なり、4孔も閉じ、5孔のみを開ける。コロコロよりも音の振れ幅が大きい。

コロコロ(玉音)=尺八の中でも特に難しいといわれるコロコロと玉音という二つの技法を組み合わせたもの。アゴのメリカリなどもあわせて、鳥の鳴き声のような擬音のような効果を生み出す。

ヒラヒラ=古典本曲などで使われるコロコロのオクターブ上の奏法。音の変化は少ないが、木漏れ日が空間に漂うかの様な雰囲気をかもす。


参考音源:演奏技法群03(1尺8寸:地無し幻海)

 こちらの記事をはじめ、尺八の練習方法や管理の仕方などについて、詳しくは「まるごと尺八の本(葛山幻海 著)/¥1600」に記載しています。よかったらそちらも参考になさってください。

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