楽曲解説 -ヤ行-
邦楽の様々な楽曲の由来や解説などを知り、より演奏を楽しむ為の考察です。
大和調子(ヤマトヂョウシ)/
大和調(ヤマトシラベ)/
心月(シンゲツ)
尺八古典本曲といわれているが真相は不明。大和調べ(ヤマトシラベ)とも。
谷狂竹(タニキョウチク)が大和路を托鉢中に奈良県の大和郡山の村田扇翁(ムラタセンオウ、雅楽師の家系とも筝曲家ともいわれる)から蒐集した曲とされている。あるいはそれを元にした谷狂竹の創作かもしれない。いわれによれば、村田扇翁に教わり、10年ほど必死に練習して、再び村田扇翁に聴いてもらったところ「そんな曲は教えていない」とのことである。また、一説には伊勢の普済寺所伝で、近藤宗悦の門人である村田素雲から村田扇翁に伝わったというものもあるが、いずれにせよ判然としない。。
その後、大和の盆地を現すかのような曲調から、浦本折潮(ウラモトセッチョウ)と相談のうえ大和調子と名づけられる。元の曲名は、陀羅尼(ダラニ)といったらしい。海童道系では「心月孤円 光呑万象」という境地を現し心月(シンゲツ)・総心月(ソウシンゲツ)と。富森虚山伝では献香讃(ケンコウサン)とも。
曲は少しだけ手の異なる、初期の原型的なもの(真の手)と後期の装飾的なもの(草の手)、その中間的なもの(行の手)などがあり、また伝承系統によってそれぞれ微妙に異なる数多の吹き方がある。谷狂竹自身、虚無僧托鉢の旅を経る中で曲が変化していったというので、谷狂竹から伝承した時期、また流派門派によって継承された変化も含めると様々なパターンがあることも当然といえる。
初期のものは、谷北無竹・稲垣衣白・山上月山など、谷狂竹と早いうちから懇意にしていた人々に伝わっている。後期のものは、谷狂竹・浦本折潮の二人によって繰り返しや装飾的な表現が加えられたといわれ、津野田露月らに伝わっている。
谷狂竹が宮川如山(ミヤガワニョザン)の弟子で阿字観(アジカン)を得意としていたことから、大和調子は阿字観の前吹きとしてよく使われている。前吹きとして使用する場合は、曲の半分程度まで吹かれる。
楽曲は、大和のゆったりとした雰囲気と大和路から望む生駒山系などの山々を現したかのような高音があり、非常に趣がある。
参考音源:大和調子(後期の装飾的なタイプ、一尺八寸管使用)
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