楽曲解説 -ヤ行-
邦楽の様々な楽曲の由来や解説などを知り、より演奏を楽しむ為の考察です。
四つの民(ヨツノタミ)
地歌筝曲、手事物。作曲は松浦検校(マツウラケンギョウ)、箏の手付けは八重崎検校(ヤエザキケンギョウ)、作詞は京都の赤尾某といわれている。松浦の四つ物ひとつで士農工商の当時の民の生活を歌い上げたもの。
構成は、前唄-マクラ・手事二段・チラシ-後唄となっており、マクラが特に長いのも特徴的。
限りなく 静かなる夜や 吹く風の
勿来(なこそ)の関の 山桜
鎧の袖に 散りかかり
花摺衣(はなずりころも) 陸奥(みちのく)に
駒(こま)を進むも 君がため
弓を袋に 鋤鍬(すきくわ)や
案山子(かかし)を友と 野辺(のべ)の業(わざ)
菜摘み水引き 貢(みつぎ)取り
薪(たきぎ)を肩に 彼処(かしこ)なる
木の間の月を 楽しみて
山路の憂きを 忘れめや
雨露霜(あまつゆ、しも)を 凌(しの)ぐ身の
工匠(たくみ)は炭と かねてより
大宮造り 殿(との)造り
烏帽子素袍(えぼし、すおう)も 華やかに
賎が軒端も 建てつづき
錦織るてふ(ちょう) 機(はた)ものの
夜寒(よさむ)いとはじ 綾どりの絹
染めて貴賎(きせん)の 色分けぬ
同じ眺めは 白妙に
雪は一入(ひとしお) 後朝(きぬぎぬ)の
情け商(あきな)ふ すぎはひに
姿言葉は 賎しくて
心計りは 皆やさしかれ
松浦検校=関名は久保一.藤池流で筝曲ではなく地歌の作曲者。~1822年
京都を中心に活動し、「松浦の四つ物」とよばれる四季の眺、宇治巡り、四つの民、深夜の月という京流手事物など数々の名曲を遺した。
八重崎検校=関名は壱岐之都、三保一。生田流。1776または85~1848
京流手事物の箏パートの作曲の第一人者で、多くの箏パートを作曲している。それまで人気の無かった曲も、彼が作曲する事で人気になった曲も。
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