楽曲解説 -ナ行-
邦楽の様々な楽曲の由来や解説などを知り、より演奏を楽しむ為の考察です。
七小町(ナナコマチ)
地歌筝曲、作曲は生田流の光崎検校(ミツザキケンギョウ)、箏手附は八重崎検校(ヤエザキケンギョウ)が江戸時代後期に作った。作詞者は京都の船坂三枝。
蒔かなくに
何を種とて 浮き草の
波のうねうね 生い繁るらん
草紙洗いも 名にし負う
その深草(ふかくさ)の 少将が
百夜(ももよ)通いし 道理(ことわりや)や
日の本なれば 照りもせめ
さりとては また天(あめ)が下とは
下行く水の 逢坂の
庵へ心 関寺(せきでら)の
うちも卒塔婆(そとば)も 袖褄(そでづま)を
引く手数多(あまた)の 昔は小町
今は恥ずかし 市原野(いちわらの)
古跡も清き 清水の
大悲の誓い 輝きて
[手事]
曇りなき世の 雲の上
在りし昔に 変わらねど
見し玉垂れの 内やゆかしき
内ぞゆかしき
平安時代の六歌仙の一人で、楊貴妃・クレオパトラと並び世界三大美人ともいわれている小野小町を、その伝説を題材にしている能などの曲から七つ集めて一曲にしている作品。題材になっている能の作品は、順に「草子洗小町・通小町・雨乞小町・関寺小町・卒塔婆小町・清水小町・鸚鵡小町」。
光崎検校=関名浪の一、冨機一。生田流、八重崎検校の弟子
幕末新筝曲として三味線と合奏しない純粋な筝曲作品を作ったり、伝統的な地歌物を作りながら新たな試みを試してみたりと革新的な人物だった。代表作として、幕末新筝曲「秋風の曲」「五段砧」、地歌では京流手事物として「七小町」「夜々の星」など名曲多数。
八重崎検校=関名は壱岐之都、三保一。生田流。1776または85~1848.
京流手事物の箏パートの作曲の第一人者で、多くの箏パートを作曲している。それまで人気の無かった曲も、彼が作曲する事で人気になった曲も。
その他のナ行の楽曲
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