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楽曲解説 -マ行-

 邦楽の様々な楽曲の由来や解説などを知り、より演奏を楽しむ為の考察です。

虫の音(ムシノネ)/松虫(マツムシ)

 地歌筝曲、唄物。作曲は藤尾勾当(フジオコウトウ)、作詞は不明。虫の音の響く秋夜に今は独り身の寂しさを思い、亡き人を慕う女心を描いた唄。前半は俗謡より、後半には謡曲「松虫」の詞章を借りている。
 別名に虫づくし、松虫とも。また、市浦検校(イチウラケンギョウ)作曲の中空調子の手を合わせるときは特に「中空虫の音」ともいう。 京都の手は、吉崎検校(ヨシザキケンギョウ)が作曲。
 流派によって「ほんに浮世がままならば、何を恨みんよしなしごとよ」を弾かない場合もある。手事は砧地になっており、歌詞の内容を暗示させている。

思ひにや 焦がれてすだく
虫の声々 小夜(さよ)更けて
いとど淋しき 野菊にひとり
道は白菊 辿りてここに
誰を松虫 亡き面影を
慕ふ心の 穂(ほ)に現はれて
荻(はぎ)よ薄(すすき)よ 寝乱れ髪の
解けてこぼるる 涙の露の
かかる思ひを いつさて忘りょ
とかく輪廻(りんね)の 拙(つたな)きこの身
晴るる間もなき 胸の闇
雨の降る夜も 降らぬ夜も
通ひ車の 夜毎にくれど(※ば)
逢ふて戻れば 一夜が干夜(せんよ)
逢はで戻れば また千夜
それそれそれぢゃ まことにさ
ほんに浮世が ままならば
何を恨みん よしなしごとよ

桔梗(ききょう)刈萱(かるかや) 女郎花(おみなえし)
我は恋路に 名は立ちながら
独り丸寝(まるね)の 長き夜に
[手事]
面白や 千種(ちぐさ)にすだく 虫の音の
機(はた)織る音は(※の) きりばったりてふ
きりはったりてふ 綴れ(つづれ)させてふ
蜩(ひぐらし) きりぎりす
いろいろ色音(いろね)の中に
別けて我が偲ぷ松虫の 声りんりんりんりん
凛として 夜の声 冥冥(めいめい)たり
すはや難波の鐘も 明け方朝間(あさま)にやなりぬべし
さらばよ友にと 名残りの袖を
招く尾花も 仄か(ほのか)に見えし 跡絶えて
草茫々(ぼうぼう)たる 阿倍野の塚野に(※阿倍野の原に)
虫の音ばかりや 残るらん
虫の音ばかりや 残るらん

 詩や手事の中には、虫の音を思わせる擬音「チンチロリン(松虫)」「リンリンリンリン(鈴虫)」「きりはったりちょう(機織り=キリギリス)」などが入っていて面白い。こういったお箏の手は「虫の手」と呼ばれる。

藤尾勾当=生没年不詳。江戸時代中期の地歌演奏・作曲家。尾張(現 愛知県)の人で、安永(1772~1781年)のころ活躍。代表作に富士太鼓、虫の音、八島(やしま)など謡曲に題材をえた作曲がある。

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