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楽曲解説 -マ行-

 邦楽の様々な楽曲の由来や解説などを知り、より演奏を楽しむ為の考察です。

松風(マツカゼ)

 生田流の地歌筝曲。作曲は岸野次郎三(キシノジロウザ)、作詞は佐度島伝八(サドシマデンパチ)。歌詞は謡曲の松風をもとにされているが、もともとは在原業平(ありわらのなりひら)中納言を題材にした御伽草子の「松風村雨」の物語からきている。この松風には数種類あり、岸野次郎三が作曲した中で一番古く大阪にのみ伝わったものを古松風(歌詞が少し異なる)、それを二上りに移曲し名古屋を中心に伝わったとされたものを新松風、そしてさらに箏の替手を加えたものを京松風という。この生田流のものは京松風になる。この他、山田流にも同じ松風の題の物があるが、こちらは全く別物。

懐かしや 行平(ゆきひら)の中納言
三年(みとせ)はここに 須磨の浦
都へ上り(のぼり)給ひしに
このほどの形見とて
御立烏帽子(おんたてえぼし) 狩衣(かりぎぬ)を
残しおき給えども
これを見る度にいや増しの
思ひ草 葉末に結ぶ露の間も
忘らればこそあじきなや
形見こそ今は仇なれこれなくば
忘るる暇もありなむと
詠みしも理りや
なほ思ひこそ深かりし
宵々に脱ぎてわがぬる狩衣(かりごろも)
かけてぞ頼む同じ世に
住むかひ有らばこそ
忘れ形見もよしなしと
捨てても置かれず
取れば面影に立ちまさり
起き伏しわかで枕より
後より恋の責めくれば
せんがた涙に伏し沈むこそ悲しけれ
浮瀬川に絶えぬ涙の憂き瀬にも
乱るも恋の淵はありけり
たとへ暫しは別るるとも
松にかわらで帰り来ば
あら頼もしの御歌や
立ち別れ因幡の山の峰に生ふる
まつとし聞かば今帰り来む
それは因幡の遠山松
これは懐かし君ここに
須磨の浦曲(うらわ)の
松の行平たち帰り来ば
我も木陰にいざ立寄りて
磯馴松(そなれまつ)の懐かしや
松に吹きくる風も狂(きょう)じて
須磨の高浪 はげしき夜すがら
妄執の夢に現れ見ゆるなり

 ある時、天皇のご勘気に触れて須磨に流されてきた在原行平中納言が、二人の乙女に出会い「松風・村雨」と名づけて寵愛した。しかし、後に帰る事を赦された行平は都に二人は連れて行かず、松の梢に形見の烏帽子と狩衣、そして和歌を残して立ち去ってしまう。その残された物を見るたびに女の心情は、愛憎渦巻くものとなる、といった残された女性視点で詠われている。
 この物語は、地歌筝曲や邦楽によく取り入れられ、他に狭筵磯馴松といった曲も作られている。

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