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楽曲解説 -マ行-

 邦楽の様々な楽曲の由来や解説などを知り、より演奏を楽しむ為の考察です。

松の緑(マツノミドリ)

 地歌筝曲、長唄物。作曲は、4代目杵屋六三郎(キネヤロクサブロウ)。「勧進帳」や「吾妻八景」などの名曲を残した4代目杵屋六三郎が自分の娘の襲名披露のために作曲した祝儀曲。娘の祝いを廓(色町)に例えるのは、今日の感覚では解り難いが、当時の音曲の中心地であり、題材として喜ばれた事からといわれている。

今年より 千度(ちたび)迎うる春ごとに
なほも深めに 松の緑か 
禿(かむろ)の名ある 二葉の色に
太夫(たいふ)の風の 吹き通ふ
松の位(※1)の 外八文字(そとはちもんじ、※2)
派手を見せたる 蹴出し褄(けだしづま、※3)
よう似た松の 根上がりも 
一つ囲いの 籬(まがき、※4)にもるる
廓(さと)は根引きの 別世界
夜々(世々、よよ)の誠と 裏表
比べごしなる 筒井筒(つついづつ、※5)
振分け髪も いつしかに
老いとなるまで 末広う
開き初めたる 名こそ祝(しゅく)せめ

※1 松の位=太夫・花魁など遊女の最高位のこと。花・詩・箏など諸芸に通じ、時の権力者や公家でさえ自由に呼び出すことは出来ないといわれ、庶民の尊敬を集める存在。有名な太夫に吉野太夫、夕霧太夫、高尾太夫など。

※2 外八文字=花魁道中(指名した遊女が茶屋へ赴くまでの顔見せの工程を、旅に例えたもの)に行なう特殊な歩方。京都の習慣を模している。

※3 蹴出し褄=蹴出しは、和装で、女性が腰巻の上に重ねてつける布。裾よけ。褄は、その端。

※4 籬=遊郭で、遊女屋の入り口の土間と店の上がり口との間の格子戸。顔見せをする。

※4 筒井筒=伊勢物語・大和物語にでてくる物語の一つで、幼馴染の男女が結婚するという内容。世阿弥により能へ取り上げられ、下の句に「生(お)ひにけらしな」と続く。これは成長して背丈が高くなった(いつしか老いてしまった)という意味で、この松の緑では父から見た娘の成長を暗示させている。
「筒井筒 井筒にかけし まろがたけ 生ひにけらしな 妹見ざる間に」

4代目杵屋六三郎=幼名、長次郎。1780年~1856年。
7代目市川団十郎に評価され、多くの作品を残す。

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