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楽曲解説 -ハ行-

 邦楽の様々な楽曲の由来や解説などを知り、より演奏を楽しむ為の考察です。

花の縁(ハナノエニシ)

 地歌筝曲、京風手事物に倣った作。作曲は二世吉沢検校(ヨシザワケンギョウ)、作詞は伊藤祐良。当時の松坂屋の主人・伊藤治郎左衛門の結婚祝いに贈られた祝儀の曲。
 構成は、前弾き・前唄-手事・中唄・手事-後唄といったものになっている。

新玉の(あらたまの、※1) 年立ち返る その名さへ
実にや安けき まつりごと
受けてうるおう 民草の
栄え行く世ぞ 限りなき
春にときめく 佐保姫(さほひめ、※2)は
呉羽綾羽(くれは、あやは、※3)か 綾なして
錦(にしき)織り敷く 九重(ここのえ)の
花の都の 花桜
花の顔ばせ 色深く
なびき粧ふ(よそおう) 青柳(あおやぎ)の
眉も緑の 薄霞(うすがすみ)
衣縫うてふ 糸遊(いとゆう)に
心ひかるる 浮かれ人
花を頼りの 此処彼処(ここ、かしこ)
遊ぶ野山の 花の陰
花見車や 花筵(はなむしろ)
花の袂(たもと)に 汲み交(か)はす
花の盃 浅からぬ
情けも浮かぶ 花の契りや

※1 新玉の(あらたまの)=枕詞、年月や春にかかる。伊勢物語の一節にかけるとあまり祝儀には向かない。この曲では、「やっと春が来た」といった意味。

<あらたまの年の三年(みとせ)を待ちわびて ただ今宵こそ新枕(にひまくら)すれ>

※2 佐保姫=春を司る女神。奈良の東にある佐保山の神霊。春の季語。秋を司る竜田山の女神、竜田姫と対をなす。季節の情景、春霞は佐保姫が織り成し、秋の錦は竜田姫が染め上げるといわれる。

<佐保姫の 糸染め掛くる 青柳を 吹きな乱りそ 春の山風(平兼盛)>
<佐保姫の 霞の衣 ぬきをうすみ 花の錦を たちやかさねむ(後鳥羽院)>

※3 呉羽、綾羽=七夕の織姫彦星伝説と同じ機織姫、呉織(クレハトリ)・穴織(アヤハトリ)の姉妹。奈良県川西町の糸井神社、大阪府池田市に呉服神社と伊居太神社に祭神として祭られている。伝説によれば、古代中国の呉の国より機織技術者として呉織・穴織・兄媛(エヒメ)・弟媛(オトヒメ)の4人が渡来したと伝えられている。

吉沢検校(二世)=関名は吉沢審一。生田流で主な活躍地域は名古屋・京都。
光崎検校(ミツザキケンギョウ)の幕末新筝曲の影響を受け、三味線から離れた箏だけの曲を作曲した。古今組(吉沢検校が作曲した代表曲郡の総称)は、新しく工夫をした調弦・古今調子を使用し、歌詞は古今和歌集に収集されているものを使用している。

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