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楽曲解説 -その他-

 邦楽の様々な楽曲の由来や解説などを知り、より演奏を楽しむ為の考察です。

ページ内 目次:
 ・琴古流の尺八
 ・琴古流尺八 伝承曲

琴古流(キンコリュウ)の尺八

 福岡黒田藩の藩士であった黒沢琴古(クロサワキンコ、幸八、初代琴古)を開祖とする尺八の流派(琴古流と名乗るようになるのは2代目からとも)。黒沢家の跡継ぎは4代目までで(5代目が継承を放棄したため)途絶えてしまったが、その後、「琴古流の流れを組む」あるいは「琴古流の考えを継承する」社中・会派というような形で今日まで流儀が存続している。
 琴古流の名称は、宮地一閑が一閑流の名称を唱えたためそれと区別するために唱えた、と定説では言われていた。が、初代琴古・二代琴古の弟子である宇土細川藩主であった細川興文(おきのり、月翁、来鳳子)の文書の中に「琴古流」という文言が見られることから、もう少し早い時期に琴古流という名称が用いられていたのではないか、と現在では考えられている。

著名な吹き手:
(黒沢家継承あり)久松風陽、細川月翁、など
(黒沢家継承なし)吉田一調、豊田古童(風憬)、荒木古童(竹翁、梅旭)、など

琴古流尺八 伝承曲

 琴古流の伝承曲。指孔は下から順に12345と数え、低音を呂、高音をカン(甲)と記す。
 現在、一般的に聞かれる琴古流本曲は山口五郎に連なる竹盟社系のゆったりとしたものが多いが、過去の名人の音源と聴き比べるとかなり音の長さが延び、手が細かくなっていることがわかる。また、荒木竹翁(2代古童)以後とそれ以前の古譜とを見比べるとメリカリさえも入れ替わっていることがあり、一月寺・鈴法寺の虚無僧らが吹いていたであろう曲調、あるいは初代琴古が吹いていたであろう曲調とはかなり印象が異なるのではないかと考えられる。
 また、古譜に見る手や特殊技法も現代では失われていたり、簡略化されているなどの例も多い。(例<過去→現代>:ウワゴロ・鈴ゴロ→コロ、残音→浅音、二四のヒのメ→ヒのメ、など)
 初代琴古作の竹を見ても細身で、指孔が小さく、歌口も浅く、現在ほどメリカリを多く常用するには不向きな楽器である(※指孔が小さいと微妙なスリ上げなどは行い辛く、歌口が浅いとメリ込などが行い辛い)。そのことから、当時と現代ではかなり曲調が異なるのではないかと推察される。代って久松風陽作(私が見たものは伝風陽作ではあるが)になると竹も太く、指孔も大きくなっている。現在の琴古流本曲の吹き降りは、その伝承経緯を見ても久松風陽好みが踏襲されていると考えられる(ただし、それでもメリカリなどは現在ほど多くなかったと考えられる)。
 表組曲には本調子(壱越調、D)、裏組曲には雲井調子(双調、G)や曙調子(黄鐘調、A)の曲が多く配置されているが一部例外がある。

表組曲:
一二三ノ調 鉢返ノ調 寿調(長調) 霧海ヂ鈴慕 虚空鈴慕(一閑流虚空替手を含む)
滝落ノ曲 秋田菅垣 轉菅垣 九州鈴慕 志図ノ曲 京鈴慕 琴三虚霊
吉野鈴慕 盤渉調(盤渉) 真虚霊 夕暮ノ曲(夕暮) 栄獅子 打替虚霊
葦草鈴慕 伊豆鈴慕 鈴慕流 巣鶴鈴慕(鶴巣籠)

裏組曲:
三谷菅垣 下野虚霊 目黒獅子 吟龍虚空 佐山菅垣 下り葉の曲 波間鈴慕
鹿の遠音 鳳将雛 曙調子 曙菅垣 芦の調 厂音柱の曲 砧巣籠
雲井鈴慕(霧海ヂ) 雲井虚空 雲井菅垣(轉菅垣) 雲井獅子(栄獅子)
鈴慕(霧海ヂ) 曙虚空 曙菅垣(轉菅垣) 曙獅子(栄獅子)

その他:
月の曲(荒木竹翁 未作、後に増補)

伝承が途絶えた曲:
黄鐘ノ調(曙調)、双調々(雲井調)
雲中祥鶴(雲峯郡鶴)=久松風陽 作
平調々、平調楽、平調虚空、盤渉楽、盤渉菅垣=吉田一調 編作
清風調、清風音調、麒率舞=吉田一調 作
[月翁書に見られるもの]
秘事の手十一曲より:東恋慕、雁音恋慕(カリガネ)、乱獅子、歌袋 呼子鳥、
曙ノ巣籠、雲井ノ巣籠
※東恋慕=芦の調、雁音恋慕=厂音柱の曲、曙ノ巣籠=砧巣籠の可能性も。
変手三曲より:帰厂虚空(キガン)、陣中虚空

その他の楽曲

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