楽曲解説 -サ行-
邦楽の様々な楽曲の由来や解説などを知り、より演奏を楽しむ為の考察です。
下野虚霊(シモツケキョレイ)
琴古流の本曲で裏組曲、虚鈴の一種。琴古手帖によれば、一月寺の門弟・秋曲子より初代黒澤琴古へと伝来し、かわりに夕暮ノ曲と交換したといわれている。
最近ではもっぱら三虚霊といえば「虚鈴、霧海ヂ、虚空」の三つの曲を現すことが多いが、昔はこれを三曲と呼び、三虚霊はもっぱら「琴三虚霊・打替虚霊・下野虚霊」の三つ曲を指す名称として使用されていたという。
小金の一月寺の虚鈴であれば、下総虚霊(小金の一月寺は下総国内にある)となりそうなものだが、なぜ下野虚霊となるのか、名称の由来は不明(あるいは秋曲子の出身地が下野なのかもしれないが…)。
琴古流本曲の中では、わりと簡潔ながら変化にとんだ良曲で、他の曲の手も感じられる。一月寺の伝来であることや本調子(一越調、D)であることなどから表組の最初の方にあってもいいようなものだが……。このあたりを踏まえても不思議な由来の曲である。
似た名称の別曲に、高橋空山編作曲の下野之曲というものがある。
※参考音源 琴古流 下野虚霊(提供:木村氏 使用管:8寸四郎管)
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