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楽曲解説 -タ行-

 邦楽の様々な楽曲の由来や解説などを知り、より演奏を楽しむ為の考察です。

鶴亀(ツルカメ)

 地歌筝曲、長唄物。嘉永4年(1851年)に十世杵屋六左衛門が作曲し、発表した。祝儀曲。鶴は千年、亀は万年のコトワザから長寿といつまでも続く泰平を唄ったお目出度い曲。
 元は、能の謡曲「鶴亀(月宮殿とも)」からきており、その詞章を取り入れている。内容は、唐の宮廷で新春の事始に、恒例の鶴と亀の舞の後、舞楽を演じて、国家の繁栄と皇帝の長寿を祝い、それがいつまでも続くように願ったもの。

それ青陽の春になれば 四季の節会(せちえ)の事始め
不老門(ふろうもん、※1)にて日月(じつげつ)の
光を君の叡覧(えいらん、※2)にて
百官卿相(ひゃっかんけいしょう)袖を連ぬ
その数一億百余人 拝(はい)を進むる万呼の声
一同に拝するその音は 天に響きて夥し(おびただし)

庭の砂子(いさご)は金銀の 玉を連ねて敷妙(しきたえ)の
五百重(いほえ)の錦や瑠璃の扉(とぼそ)
しゃこの行桁(ゆきげた) 瑪瑠(めのう)の橋
池の汀(みぎは、※3)の鶴亀は 蓬莱山も余所ならず
君の恵みぞありがたき

如何に奏聞(そうもん、※4)申すべき事の候
奏聞とは何事ぞ
毎年の嘉例の如く 鶴亀を舞せられ
其後月宮殿(げっきゅうでん)に舞楽を 奏ぜらりょうずるにて候
ともかくもはからい候へ

亀は万年の齢(よわい)を経(へ) 鶴も千代をや重るらん
千代のためしの数々に 何を引かまし姫小松(ひめこまつ)
齢にたぐう丹頂の 鶴も羽袖をたおやかに
千代をかさねて舞遊ぶ
みぎりに茂る呉竹(くれたけ)の
みどりの亀の幾万代(いくよろづよ)も
水にすめるも安き君が代を
仰ぎ奏でて鶴と亀 齢を授け奉れば
君も御感(ぎょかん、※5)の余りにや 舞楽を奏して舞い給う

月宮殿の白衣(びゃくえ)の袂
月宮殿の白衣の袂 色々妙なる花の袖
秋は時雨(しぐれ)の紅葉の羽袖
冬は冴え行く雪の袂を
翻す(ひるがえす)衣も薄紫の雲の上 人の舞楽の声々に
霓裳羽衣(げいしょううい、※6)の曲をなせば
山河草木 国土豊かに
千代万代と舞い給えば
官人(かんにん)駕輿丁(かよちょう)御輿(みこし)を早め
君の齢も長生殿(ちょうせいでん)に 君の齢も長生殿に
還御(かんぎょ)なるこそ 目出度けれ

※1 不老門=古代中国の都、洛陽にある城門の一つ。
※2 叡覧=天子がご覧になること。天覧と同じ。
※3 汀=水際、渚。水と陸地の接する面。
※4 奏聞=天子申し上げる事。奏上と同じ。
※5 御感=貴人、特に天皇や天子が感心する事。
※6 霓裳羽衣=天女や仙女が着る衣のこと。虹のように美しいといわれる。また、玄宗皇帝も好み、楊貴妃がよく舞ったといわれている。

10代目 杵屋六左衛門=幼名・吉之丞。1800年~1858年。
9代目杵屋六左衛門の次男として生まれる。長唄の中興の祖といわれ、多くの名曲を残している。代表曲に、鶴亀、五郎時致、末広狩など。

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