楽曲解説 -タ行-
邦楽の様々な楽曲の由来や解説などを知り、より演奏を楽しむ為の考察です。
稚児桜(チゴザクラ)
地歌筝曲、明治新曲。大正初年に大阪の菊武祥庭が作曲。構成は、前奏・前唄-手事-後唄の三段形式になっており、手事に巣籠地が用いられている。
鞍馬寺の稚児として育った牛若丸が夜毎に源氏再興の祈願の為に下山し、五条大橋で弁慶に呼び止められ、懲らしめ、主従になるといった話を詠ったもの。
全国に知られた曲で、一時は菊武祥庭の原作とその師・菊田八重都の補足したもの、その二つをあわせたものの3種が合ったが、のちに菊武祥庭作のものに統一された。
鞍馬の寺の 稚児桜
咲けや四海に かほるまで
昼は読経(どきょう)を 務むれど
暮るれば習ふ 太刀つるぎ
思ふ源氏の 再興を
天満宮に 祈らんと
夜ごとに渡る 五条橋
笛の音高く 夜は静か
思ひもよらず かたえより
出でてさへぎる 大法師
太刀を給えと 呼ばはれて
太刀欲しくば よりて取れ
さらば取らんと 打振ふ
薙刀(なぎなた)遂に 落されて
今ぞひたすら 降参と
誠あらはす 武蔵坊
さては汝が 弁慶か
牛若丸に ましますか
主従の契り 深かりき
鏡は清し 加茂の水
菊武祥庭=1884年1月7日~1954年9月8日
大阪生まれ、明治新曲の作曲者。菊田八重都に師事、菊田歌雄と同門。師からは相当厳しい訓練を受けたが耐え抜き、ついには才能を認められて大検校にまでなった。筝曲・尺八界に大きな影響を与え、大正10年10月には当道友楽会を創立し後進の育成にも尽力した。代表曲に稚児桜、雲雀の曲、星と花など。
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