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楽曲解説 -ア行-

 邦楽の様々な楽曲の由来や解説などを知り、より演奏を楽しむ為の考察です。

今小町(イマコマチ)

 地歌筝曲、手事物。江戸時代後期に地歌を菊岡検校(キクオカケンギョウ)が、筝曲を八重崎検校(ヤエザキケンギョウ)が作曲している。作詞者は不明。
 手事物形式で前唄-マクラ・手事・チラシ・本チラシ-後唄の3段からなっている。

松の位に 柳の姿
桜の花に 梅が香を
こめて零(こぼ)るる 愛嬌は
月の雫(しずく)か 萩(はぎ)の露
露の情けに 憧(あこ)がれて
我も迷うや 蝶々の
恋い死なん身の 幾百夜(いくももよ)
通う心は 深草(ふかくさ)の
少将よりも 浅からぬ
浅香の沼の 底までも
引く手数多(あまた)の 花菖蒲(はなあやめ)
たとえ昔の 唐人(からびと)の
山や裂くちょう 力持て
引くとも引けぬ 振袖は
粋(すい)な世界の 今小町
[手事]
高き位の 花なれば
思うにかいも 嵐山
されど岩木に あらぬ身の
粋(いき)な男の 手管(てくだ)には
否にはあらぬ 稲舟(いなふね)の
沈みもやせん 恋の淵
逢わぬ辛さに 足引きの
山鳥の尾の 長き日を
恨みかこちて 人知れず
今宵、逢瀬の 新枕(にいまくら)
積もる思いの 片糸(かたいと)の
解けて嬉しき 春の夢

 今小町の題名のとおり、小野小町を直接題材に使うのではなく遊郭の世界の男女の情緒を小野小町のもとへと百夜通ったという深草少将の話に重ねながら表現している。前半は、松の位(太夫・花魁などの最高位の女性のこと)に憧れる男性視点で観た女性の美しさを、後半は遊女の女性視点で観た男性への喜びと哀しみを表し、詠い込まれている。
 最初の松の位は、遊女の最上級を意味し、柳や桜・梅、月の雫は美しい女性の容姿を現している。俗にいう「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」と似た形容。

菊岡検校=関名は楚明一。1792~1847。地歌の作曲者。
地歌の作曲者として活躍し、京流手事物の様々な名曲を後世に遺している。その多くの曲の箏のパートは八重崎検校が担当している。代表作品に磯千鳥・楫枕・茶音頭・夕顔など多数。

八重崎検校=関名は壱岐之都、三保一。生田流。1776または85~1848.
京流手事物の箏パートの作曲の第一人者で、多くの箏パートを作曲している。それまで人気の無かった曲も、彼が作曲する事で人気になった曲も。

その他のア行の楽曲

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