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楽曲解説 -ア行-

 邦楽の様々な楽曲の由来や解説などを知り、より演奏を楽しむ為の考察です。

近江八景(オウミハッケイ)

 山田流の筝曲。作曲は山登万和(ヤマトマンワ)、作詞は琴古流の尺八家・福城可童で中村秋江が補筆したもの。
 近江(現滋賀県)の琵琶湖畔の景勝地を紹介しながら、御代の平和を寿ぐ曲。近江八景を詠んだ和歌八首や歌川広重の書いた浮世絵を題材に朝~夜へと旅をするかのごとく八景が唄いこまれているさまは見事。
 三井寺の梵鐘は、武蔵某弁慶が引き摺り上げたという逸話でも有名。ちなみに三井寺は通称であり、正確には園城寺(おんじょうじ)という。

春秋の 眺め尽きせぬ にほの海
霞のひまに 見わたせば
波の粟津(あわづ)の 雲晴れて
千船百船(ちふねももふね) 打ち出での
浜をあとなる 追風に
真帆(まほ)あげ帰る 矢走潟(やばせがた)
はや夕日さす 浦々の
景色を見つつ わたるには
瀬田の長橋 ながからず
眺むるうちに 三井寺(みいでら)の
入相(いりあい)告ぐる 鐘の声
比良の高嶺は 白雪の
やや肌寒き 浦風に
おつる堅田(かたた)の 雁がね(かりがね)も
数さへ見えて 照る月の
光(※影も)さやけき 石山や
昔の跡の 偲(しの)ばれて
夜半(よは)の時雨も 唐崎の
松には千代の 声すなり
君がみいづの あきらけく
治まる御代に 逢ふみ路(近江路)や
名に聞こえたる 八つの名所(などころ)

山登万和=関名は万和一。
 嘉永6年(1853)11月24日生~明治36年5月23日没(1903)
 明治時代の山田流の箏曲家。2代山勢検校(ヤマセケンギョウ)の弟子。明治2年山登検校として投官。江戸の本郷天神町にすみ、「天神町の山登」とよばれ、山田流御三家の一つ山登家3代家元の松齢と区別された。本姓は大須賀。代表作に「須磨の嵐」「菊水」など。

【近江八景図と和歌】
・雲払ふ嵐につれて百船も 千船も浪の粟津に寄する
近江八景 粟津晴嵐、尺八修理工房幻海
粟津晴嵐(あわづのせいらん)
・真帆ひきて矢橋に帰る船は今 打出の浜をあとの追風
近江八景 矢橋帰帆、尺八修理工房幻海
矢橋帰帆(やばせのきはん)
・露時雨もる山遠く過ぎ来つつ 夕日のわたる勢多の長橋
近江八景 勢多夕照、尺八修理工房幻海
勢多(瀬田)夕照(せたのせきしょう)
・思ふその暁ちぎるはじめとぞ まづ聞く三井の入あひの声
近江八景 三井晩鐘 、尺八修理工房幻海
三井晩鐘 (みいのばんしょう)
・雪古(ふ)るる比良の高嶺の夕暮れは 花の盛りにすぐる春かな
近江八景 比良暮雪 、尺八修理工房幻海
比良暮雪 (ひらのぼせつ)
・峯あまた越えてこしぢにまづ近き 堅田になびき落つる雁がね
近江八景 堅田落雁 、尺八修理工房幻海
堅田落雁 (かたたのらくがん)
・石山や鳰(にお)の海照る月影は 明石も須磨もほかならぬかな
近江八景 石山秋月 、尺八修理工房幻海
石山秋月 (いしやまのしゅうげつ)
・夜の雨に音をゆづりて夕風を よそにぞ立てる唐崎の松
近江八景 唐崎夜雨 、尺八修理工房幻海
唐崎夜雨 (からさきのやう)

※参考画像、Wikipediaよりパブリックドメインのものを使用しています。

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