Top -トップ->Study -尺八の考察->-楽曲解説->曙鹿の遠音

楽曲解説 -ア行-

 邦楽の様々な楽曲の由来や解説などを知り、より演奏を楽しむ為の考察です。

曙鹿の遠音(アケボノシカノトオネ)/
谺返鹿遠音(コダマガエシシカノトオネ)

 尺八本曲、琴古流の鹿の遠音の曙調子(5律上)。葛山幻海が木村幽月氏の協力をもとに編曲したもの。曙調子に編曲する上で、指使いなどが少し難しくなっている。本調子との連管も可能。その際、本調子が1尺8寸管の場合、曙調子は1尺3寸管を持つ(本調子1尺3寸管の場合、曙調子は2尺でも可)ことになる。連管では、谺返鹿遠音(コダマガエシシカノトオネ)と呼ぶ。別名に刀我野、渡鹿野とも。
 本調子では指使いの都合からメリになる部分が、曙調子ではメらないあるいはカリになることも多く、そういった違いからどこか穏やかな波間を思わせるような曲風である。本調子の山に対して、こちらは海を現す。

万葉集(作者不詳)より:
名児の海を 朝漕ぎくれば 海中(わたなか)に 鹿子ぞ鳴くなる あはれその鹿子

訳①:朝、名児(なご)の海に船を漕ぎ出せば、海の真ん中で泳ぐ鹿が鳴いている。なんと愛おしい鹿だろうか
訳②:朝、名児の海に船を漕ぎ出せば、海上で行きかう水夫が声を掛け合っている。

摂津国風土記 刀我野(とがの)の牡鹿の逸話:
 昔、摂津の国の刀我野(とがの。現在の神戸市兵庫区)というところに、牡鹿(おじか)がいた。嫡妻(むかいめ)の雌鹿は同じ野に住んでいたが、側妻(そばめ)の雌鹿は淡路の野島(現在の北淡町野島)に住んでいた。牡鹿はしばしば野島に行って側妻と愛し合っていた。
 ある朝、牡鹿は嫡妻の雌鹿に言った、
 「ゆうべ、こんな夢をみた。背中に雪が積もる夢と、ススキが生えた夢だ。いったい何のしるしだろう?」
嫡妻の雌鹿は、夫がまた側妻のところへ行ってしまうことを憎み、偽って夢占いをして
 「背中にススキが生えたのは、矢に射られるしるし。雪が積もるのは、塩を塗られるしるしです。海を渡ると、船人に射られますから、どうぞ行かないで下さい」
と訴えた。
 しかし、牡鹿は恋しさに耐えきれず、また野島へと泳いで行った。海の真ん中で、船に遇い、ついに射殺されてしまった。刀我野を夢野と呼ぶようになったのは、こういう訳である。

引用元:やまとうた 和歌のHP「和歌雑記 海を渡る鹿」より


参考音源:曙鹿の遠音(使用管:1尺8寸 幻海作の広作り)

曙鹿の遠音の楽譜サンプル、尺八修理工房幻海
この楽譜はコチラから、琴古流尺八本曲楽譜 販売中!!)
電子楽譜(PDF)なら独奏用の曙鹿の遠音なら¥500
電子楽譜(PDF)なら連管譜・谺返鹿遠音なら¥600

その他のア行の楽曲

相生の曲 葵の上 青柳/新青柳 秋風の曲 秋田 秋の曲 秋の言の葉 秋の調 秋の山唄 秋の夜 曙三谷 曙鹿の遠音 曙菅垣 曙調 朝風 朝戸出 朝の海 朝緑 芦刈 葦の調 阿字 阿字観 飛鳥鈴慕 吾妻獅子 吾妻獅子(地歌) 綾衣 菖蒲浴衣 新玉の曲 有馬獅子 あれ鼠 葦草鈴慕 十六夜日記 五十鈴川 伊豆鈴慕 磯千鳥 磯の春 磯節 一定 五木の子守唄 一息 稲上げ唄 今小町 祖谷の粉挽唄 岩清水 浮舟 臼の声 宇治巡り 歌恋慕 打替虚霊 打盤 海辺の夕映 梅の月 梅の宿 浦霞 回向 江差追分 越後追分 越後三谷 越後獅子 越後鈴慕 越中おわら節 越天楽 恵傳楽 江戸土産 扇盡 奥州流し 王昭君 近江八景 大内山 岡康砧 翁の曲 お立ち酒 尾上の松 朧月曲 朧月夜

尺八製管・販売、その他周辺アイテムなど、尺八修理工房幻海

文字サイズ拡大

観づらい場合の文字サイズ
拡大方法はコチラから

尺八に問題が?

練習してるのに・・・
どうも吹きにくい

修理・お見積りのお問い合せ、尺八修理工房幻海

 毎日、尺八を練習しているのにどうも上手く音が鳴らない、鳴り辛い・・・もしかしたら、尺八に問題があるのかもしれません。そんな時はプロに相談。あなたの尺八に問題がないか調べます。お問合せへ

尺八を始めよう!

各地の稽古場・
 教授者の紹介