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楽曲解説 -ア行-

 邦楽の様々な楽曲の由来や解説などを知り、より演奏を楽しむ為の考察です。

江差追分(エサシオイワケ)/
義経鈴慕(ヨシツネレイボ・ギケイレイボ)

 北海民謡、民俗芸能、追分節。発生時期は江戸中期以降といわれているが、明確な起源・作曲者は不明。別に正調追分・江差正調追分、低音正調追分、松前追分、外曲追分などのレパートリーがある。
 もとは上州の小諸馬子唄信州の追分節(馬子唄)が越後に伝わり、そこから北前船を利用した海路で渡航者と共に松前藩と蝦夷方面へ伝わった物、越後から伝わり謙良節(松坂くずし)として唄われていた物とが、融合したのではないかと考えられている。
 追分とは、道が二つに分かれるところの意味で、昔は「牛馬が追い、分ける場所」を差したが次第に街道などの分岐点を指すようになっていった。曲名につく場合は、その「分岐する地方周辺で歌われていた曲」といった意味あいになる。

曲の特徴:
①明確な拍節感のない、自由な形式。
②音域が低音~高音と広く、跳躍も多い。
③母音を伸ばし、コブシやユリが入る。

※このような形を日本音楽の研究家・小泉文夫は「追分形式」と分類し、この対として拍節感のしっかりしたものを「八木節形式」と分類した。

代表的な歌詞①:

[前唄]
国をはなれて 蝦夷地が島へヤンサノェー
いくよねざめの 波まくら
朝なタなに聞こゆるものはネ~
友呼ぶかもめと 波の音
[本唄]
かもめの なく音に ふと目をさまし
あれが蝦夷地の 山かいな
[後唄]
沖でかもめの なく声聞けばネ~
船乗り稼業は やめられぬ

代表的な歌詞②:

[前唄]
松前江差の 津花の浜で ヤンサノェー
すいた同志の なき別れ
ついていく気は やまやまなれどネ~
女通さぬ 場所がある
[本唄]
忍路高島 およびもないが
せめて歌棄 磯谷まで
[後唄]
蝦夷地海路の おかもい様はネ~
なぜに女の 足とめる

※ 上記はほんの一部でそのレパートリーは非常に多い。

 尺八との関係は、明冶23年頃に江差に渡った南部水沢(現岩手県奥州市)の虚無僧・島田大次郎が、越後で修得した信濃川の船唄を本唄の前付けとして吹奏したところ評判を呼び、その後三浦為七郎・川島仙蔵らの尽力により前唄として確立した。
 その後、大正中期頃に江差に渡った琴古流の尺八家・内田秀童が、江差三下り(オセセのセッセ)や仙台長持唄の前唄の後半部を江差追分の後唄として添えると曲の収まりがよいということで、これを広く奨励したところ、現在の形に落ち着いたといわれている。
 追分本曲は、別名に義経鈴慕・義経恋慕などとも呼ばれることもある。


参考音源:江差追分

参考URL=北海道江差町ホームページ
参考URL=函館市中央図書館デジタル資料館

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