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楽曲解説 -サ行-

 邦楽の様々な楽曲の由来や解説などを知り、より演奏を楽しむ為の考察です。

桜川(サクラガワ)/
新桜川(シンサクラガワ)

 生田流の地歌筝曲。江戸の天保年間に京都の光崎検校(ミツザキケンギョウ)が作曲、歌詞は謡曲の桜川を題材に石崎某が作詞したと云われている。関東の桜の名所を歌い上げている。
 調子は、三弦低二上り~三を上げて一上り~本調子、箏は半雲井~平調子、尺八は琴古リ一(都山ハ一)となっている。その他に三弦二上り~三上り、箏平調子、尺八ロ一といったように調子を変えたものもある。手事は、八重霞の手事一段と合奏する事も可能。
 全く別に、藤永検校作曲の古曲「桜川」もあるので混同しないようにする。藤永作のものを「古桜川」、光崎作のものを「新桜川」と言い分けることもある。

新玉(あらたま)の 春は氷も 解け初めて
浪の花こそ よすらめと
瀬々の白浪 しげければ
霞ぞ流す 浮島の
げに面白や
昔の春も 今もなお
変らで花の 麗しく
水も濁(にご)らぬ 桜川

※1 新玉の=枕詞、年月や春にかかる。「やっと春が来た」といった意味。

<あらたまの年の三年(みとせ)を待ちわびて ただ今宵こそ新枕(にひまくら)すれ>

光崎検校=関名浪の一、冨機一。生田流、八重崎検校の弟子
幕末新筝曲として三味線と合奏しない純粋な筝曲作品を作ったり、伝統的な地歌物を作りながら新たな試みを試してみたりと革新的な人物だった。代表作として、幕末新筝曲「秋風の曲」「五段砧」、地歌では京流手事物として「七小町」「夜々の星」など名曲多数。

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